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海外移住者が必ずと言っていいほど悩むのが病気になった時に、どこで治療をするかです。
骨折や盲腸の手術程度であればほとんどの人は移住国で治療すると思うが、命に関わる重篤な病気や複雑な手術を必要とする場合は日本での治療を考える人も多いのではないでしょうか。
言葉の壁や医療技術、医療費や保険制度などで日本での治療を希望する人は意外と多いです!
ところが海外移住者が日本で入院治療を受けたいと考えた場合、どうすればよいのかがわからない場合がほとんど。しかもネットで調べても、情報がほとんどでてきません。
そこで、この記事では去年(2023年)の夏に日本で脳外科手術をした僕が実際にどのようにして日本での手術まで至ったかをご紹介したいと思います。
海外移住者が日本で治療するための手順に正解はないと思っています。
色々なやり方があるので、僕がとった手順はあくまでも一つの事例として参考にしてもらえればと思います。
日本で手術を受けようと思った理由
海外に住んでいる日本人が日本で医療を受けたいと思う主な理由は「日本だと最先端の医療が受けられる」「日本の病院の方が安心と感じてしまう」「海外だと医療用語などの言葉の壁がある」といったところではないでしょうか。
医療発展途上国であれば上記に挙げた理由は、日本で治療するにたる十分な動機になると思います。
しかし、僕が住んでいるのは医療先進国であるオーストラリアです。
それにも関わらず日本で手術を受けようと思った理由は、病気の特殊性によるものでした。
僕がなったのは片側顔面痙攣(Hemifacial spasm)という病気です。
この病気、簡単に説明すると顔の片側の筋肉が四六時中ピクピクと痙攣します。
(痙攣するだけで、ほっておいても命に関わる病気ではありません!)
はじめは下まぶたから始まり、数年後には頬や口元まで広がります。
片側顔面痙攣に関しては、また機会があれば記事にしたいと思います。
対症療法としてはボトックス注射で痙攣を抑える方法があるものの、効き目は3ヶ月程度。
完治させるのであれば脳外科手術しかありません。
ちなみに手術となると脳幹部の手術となります。
そしてこの手術は手術中の死亡率が数値としてでているのも特徴的です。
手術中の死亡率は0.3%、約330人に一人が手術中に亡くなっています。
当然、医者の熟練度によってこの数値は大きくも小さくもなるので、誰しも名医と言われる先生に執刀してもらいたくなるのではないでしょうか。
日本だと病院や医師の評判・口コミがネットで簡単に調べることができます。特定の分野で名医と言われている先生を見つけるも比較的容易いです。
それに比べて海外だとこの情報がなかなか出てきません。自分の検索の仕方が悪いのかと思ってしまうくらい情報が少ないです。
日本で手術をすることに決めた理由は、オーストラリアで片側顔面痙攣の手術(微小血管減圧術)の名医を見つけられなかったからです。
海外移住者が日本で治療するメリット・デメリットはコチラの記事に記載
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日本での手術にいたるまでの経緯
オーストラリア在住の僕が日本での手術に至った時系列です。
- 手術をお願いしたい医師の検索(2023年1月)
- 医師への連絡(2023年1月)
- 初回診察および検査のために日本へ一時帰国(2023年3月)
- 入院・手術のために再度日本へ一時帰国(2023年9月)
病院探しから始まって、手術に至るまで約9か月間。
僕の場合は想定していたよりも早くことは進んだと思っています。
1. 手術をお願いしたい医師の検索
まず初めに診て欲しい病院・医師を探す必要があります。
どこでも良いのであれば、とりあえず帰国して、近くの病院で診察をして、紹介状を書いてもらうという方法もあります。
Googleで「病名 おすすめ 病院(または医師)」である程度候補がしぼれると思います。
そこから各先生の名前で検索したりすると、いろいろな人が書いているブログやレビューがでてくると思います。
2. 医師への連絡
この先生に診てもらいたいと思える医師が見つかったら、直接メールをお出ししましょう。
<宛名をしっかり書く>
病院名、所属・科、医師のフルネームを記載
<件名と本文は簡潔に>
お忙しい先生に長ったらしい文章を送り付けるのは大変失礼かと思い、これはかなり注意しました。
件名は概要がわかるようにし、また本文も長ったらしい挨拶などはあえて記載せず。文章は適度な改行を入れて、読みやすい文章で書くようにしました。
実際に先生に直接お出ししたメールが下記になります。
件名:片側顔面痙攣に関するご相談(海外在住)
○○大学医学部脳神経外科
○○ △△ 様はじめまして、JINと申します。
突然のメールにて失礼いたします。○○大学の顔面痙攣の手術Q&Aを拝見させていただき、ご質問がありますためメールをさせていただきました。
私は現在、オーストラリアに住んでおります。
2年前から右側の目の周りに痙攣があり、それが徐々にひどくなっております。現地、GP(一般開業医)には定期的に通っており、ボトックス注射を5ユニットほど打っておりますが、効きがだんだん悪くなってきております。
手術で治療が可能であることを知り、受けるのであれば日本に一時帰国時に先生の所で受けさせてただきたく思っておりますが、見ていただくことは可能でしょうか。
海外からの場合ですと、診察含めてどのくらいの期間が必要でしょうか?
また、入院が2~3週間とのことですが、大まかな費用を教えていただくことは可能でしょうか?なお、実家が埼玉であることから、一時帰国の際は通いやすいかと思っております。
大変お忙しいかとは思いますが、ご返事いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。JIN
先生から返信の連絡があった後も、何往復もメールのやり取りをしないよう要領を得たメールを書くように注意しましょう。
先生からの返信では、「まずは診察しないとわからない」と言われたので、初診の日にちをメールで調整し、航空券の手配をしています。
3. 初回診察および検査のために日本へ一時帰国
最初にメールを出してから約3ヶ月後に診察のために日本に一時帰国をしています。
帰国してすぐに住民票を入れ、国民健康保険の加入手続きと高額療養費制度の限度額適用認定書の取得を行っています。これについては別記事にしていますので、そちらをご参照ください。
行政手続きに関しては下記参照
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僕の場合は、初診の1週間後にCTとMRIを受け、その結果を見たうえで病名の判断と手術する場合の日付を決定する流れとなりました。
結果は案の定「片側顔面痙攣」でした。
この分野では有名な先生であったことから、手術は早くて9月(約半年後)といわれたので、一旦オーストラリアに戻ることにしています。
この間、住民票は抜かずに入れっぱなしでオーストラリアに戻っています。
4. 入院・手術のために再度日本へ一時帰国
8月下旬に再度日本に一時帰国、9月上旬に入院、1週間かけてありとあらゆる検査をし、入院1週間後に手術という流れでした。
ここで一点注意があります!
日本の多くの病院では入院時と手術時に立会人を必要とします。
お願いできる人を事前に必ず確保しておきましょう。
僕はオーストラリアから妻に来てもらいました。
術後は2週間入院、退院後1ヶ月検診があったので、この時はトータルで2ヶ月間日本に滞在しています。
ちなみに、手術自体は脳幹から出ている顔面神経に血管が複雑に癒着しておりかなり難しかったようですが、後遺症もなく無事に終わりました。
顔面痙攣すっかり収まったので、お願いした先生には感謝しかないですね。
日本で入院時にオススメのポケットWi-Fi
病院には入院患者が利用できるフリーWi-Fiはあるものの、通信速度は遅く、一日の利用上限(一定のデータ使用量を超えると速度が制限される)があるのがほとんど。
入院中、快適にネットを利用したいのであればポケットWi-Fiの準備は必須!
僕が利用していたポケットWi-Fiは『クラウドWiFi』。
他社と比べて料金が安く、1日○○GBまでといった通信容量制限を設けていないです。
入院中は通信容量も気にせずネトフリを見て過ごすことができました。
通信容量 (月額費用) | 100GB(3,718円) 50GB(2,980円) 20GB(2,580円) |
通信速度 | 下り最大:150Mbps 上り最大:50Mbps |
通信速度制限 | 各プランごとの月間通信容量を超えた場合は、 翌月1日まで通信速度が128Kbpsに制限される |
契約期間 | 縛りなし(最低利用期間は1ヶ月) |
解約違約金 | 0円 |
解約方法 | 毎月15日までの申請で当月末解約 |
1週間以内の短期入院の場合やネット利用頻度が少ない方ならデータ容量が少ないプランで十分。
ネットを頻繁に使う方や長期入院の場合は 、1ヵ月100GBのプランがおすすめです。
快適な入院生活を送るために、僕はクラウドWiFi(100GB)を利用していました。
最後に…
海外移住者が現地で病気になった際には、なるべくその国で治療するのがよいと思ってはいるが、諸事情により日本で治療・療養する場合はこの記事で書いた方法を参考にしてもらえればと思います。
なお、ここで書いた方法以外にもやり方はあります。
海外にいる内にアポイントを取らずに、日本に帰国してから直接病院に出向くという方法です。
とは言え、海外を拠点に仕事をしている場合はなるべき物事をスムーズに進めたいと誰しもが思う事だと思います。飛行機の手配などもあるので、やはり事前に医師や病院と連絡を取った方が良いと思います。
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